瓦屋根の種類と特徴は?メリット・デメリットの解説&補修費用の目安

2023.08.06
    瓦屋根はデザイン性が高くモダンな雰囲気の家にも合いますし、機能性に優れているのでおすすめの屋根の素材です。
      • 瓦屋根には、どのような種類があるか?
      • 種類によるメリット・デメリットとは?
      • 瓦屋根をメンテナンスする際の内容や費用は?
    瓦屋根についてまとめました。

    屋根瓦の種類とは

    屋根瓦の種類とは
    屋根に使用される瓦には、以下の種類があり、それぞれ特徴がありますので、ご紹介します。
      • 最もポピュラーな「釉薬(ゆうやく)瓦」「陶器瓦 」
      • 「無釉(むゆう)瓦」「いぶし瓦」「素焼瓦」
      • 今は使用数が少ない「セメント瓦 」
      • 特殊な高級瓦の「本瓦」「銅板瓦」

    最もポピュラーな「釉薬(ゆうやく)瓦」「陶器瓦

    「陶器瓦」とも呼ばれる「釉薬(ゆうやく)瓦」とは、粘土で作られた瓦に釉薬でコーティングされた瓦の種類です。 釉薬とは素焼きした陶器の表面に塗る薬剤で、塗るとガラスの釉薬層ができます。 ツヤが出て耐水性も耐久性が高くなりますし、釉薬によって色味も変えられるので使いやすいのが特徴です。 量産も可能なので最もポピュラーな瓦です。

    「無釉(むゆう)瓦」「いぶし瓦」「素焼瓦

    釉薬瓦とは反対に、釉薬を塗らないのが「無釉(むゆう)瓦」です。 釉薬を塗らない分、焼成時に耐水性や耐久性を高めています。 釉薬を塗らない瓦を総称して無釉瓦と呼びますが、無釉瓦の中にも「いぶし瓦」「素焼瓦」などの種類があります。 いぶし瓦は、瓦を焼き上げた後に煙で燻して耐久性を高めた瓦です。 素焼瓦とは、粘土を焼いたままの状態の瓦で、粘土の色がそのまま瓦の色となります。 海外の家の屋根に多く用いられている瓦です。

    今は使用数が少ない「セメント瓦

    型にはめてセメントで作られた瓦が「セメント瓦」で、1970年代~1980年代に流行った屋根瓦です。 陶器よりも低価格で生産できるために、高度経済成長期に普及しました。 セメント瓦も耐久性が悪いわけではありませんが、陶器瓦と比較すると割れやすい、色褪せやすいという特徴があります。 見た目が時代遅れという印象もあり、現在ではあまり使用されません。

    特殊な高級瓦の「本瓦」銅板瓦

    一般家庭の屋根の素材としてというよりは、お寺や神社仏閣など特殊な家屋の屋根に用いられる素材です。 「本瓦」の屋根は、半円の形をしていて屋根の斜面に沿って、縦に並べられる特殊なデザインです。 「銅板瓦」は、銅板を屋根材として使用したもので、昔の家屋によく用いられていました。 金属板なので非常に薄く、60年以上メンテナンスも不要なほどに耐久性があり、日本で歴史のある屋根素材です。

    瓦屋根以外の屋根材の種類

    屋根材は、瓦屋根以外に以下のような選択肢があります。
      • ストレート屋根
      • トタン屋根
      • ガンバリウム鋼板
      • アスファルトシングル(グラスファイバーシングル)

    ストレート屋根

    一般的に広く使用されているのが、セメントなどを材料とした板状の「ストレート屋根」です。 瓦よりも軽く、工事できる業者も多く、デザインやカラーの選択肢が豊富で人気のある素材です。

    トタン屋根

    「トタン屋根」は、亜鉛メッキ鋼板で雨漏りしにくく、安価で軽量な素材です。 軽量で施工費用が安いですが、耐用年数が短くて錆びやすいというデメリットがあり、近年ではあまり好まれません。

    ガンバリウム鋼板

    「ガンバリウム鋼板」とは、アルミニウム55%と亜鉛、シリコンで加工された鋼板で、トタンより耐久性があり、瓦の1/6の軽さです。 断熱性が低いので夏は暑く、衝撃に弱くて凹みやすいというデメリットがあります。

    アスファルトシングル(グラスファイバーシングル)

    「アスファルトシングル」とはグラスファイバーシングルとも呼ばれ、ガラスの繊維にアスファルトを染み込ませて、石を吹き付けたシート状の屋根素材です。 複雑な屋根の形にも対応でき、軽量で耐震性も高いというメリットがありますが、施工できる業者が少なく施工費用がかかる場合もあります。

    瓦屋根のメリット

    瓦屋根のメリット
    屋根には、軽い粘度でできたストレート屋根や、金属のガンバリウム屋根など、瓦以外にもいくつか種類があります。 このような他の屋根と比較した際に、瓦屋根を選ぶと以下ようなメリットがあります。
      • 耐久性が高く寿命が長い
      • 断熱性が高い
      • 遮音性が高い
      • 瓦屋根ならではのデザイン性
      • 部分的なメンテナンスが可能

    耐久性が高く寿命が長い

    瓦屋根の最大のメリットともいえるのが、耐久性の高さです。 遺跡で掘り出される陶磁器の形がそのまま残っているように、陶器の瓦は経年劣化に強いのです。 防水シートなど瓦の下の部分のメンテナンスは必要になりますが、屋根材としての瓦は50年、場合によっては70年~80年以上長持ちするケースもあります。 通常のストレート屋根やガンバリウム屋根ですと、30年程度で葺き替えの必要がありますので、瓦屋根の寿命の長さがわかります。 瓦は色褪せの心配もなく、家の土台よりも瓦が長持ちするほどに耐久性が強いです。

    断熱性が高い

    エアコンが現代のように普及していなかった時代から、瓦屋根は日本の高温多湿な夏を快適に保ってきました。 瓦屋根は瓦の下に空気層ができるため、他の屋根と比較すると断熱性が高いという特徴があります。 空気層ができると、外の熱を室内に伝えにくくなり、湿気がこもりにくくなります。 冬は結露を起こしにくいという効果もありますので、夏も冬も過ごしやすくなります。

    遮音性が高い

    遮音性が高い
    瓦屋根は空気層ができるため、雨音が伝わりにくくなり、遮音性という面でも優れています。 例えばトタン屋根に雨音が当たると、大きな音が室内に伝わってストレスになってしまいます。 瓦の素材が粘土なので音を吸収してくれるという特性もあり、雨の日でも静かな室内で快適に過ごせます。

    瓦屋根ならではのデザイン性

    屋根は建物の外観のイメージを左右する要素のひとつなので、デザイン性で瓦屋根を好むという方もいます。 高機能なだけでなく趣のある瓦屋根は、デザイン性も豊富で幅広い選択肢があるのも魅力です。 瓦屋根といっても昔ながらの古風なものだけでなく、モダンでデザイン性の高い屋根も人気です。 釉薬瓦なら好きな色味も出せるので、個性のあるオシャレな屋根を好む方に選ばれています。

    部分的なメンテナンスが可能

    もしも瓦が割れてメンテナンスが必要になった際に、瓦屋根であれば破損した部分のみの葺き替えが可能です。 屋根に大がかりなリフォームが必要になると、借り住まいを探さなくてはいけない場合もありますが、小規模のメンテナンスであれば部分的な補修で済みます。 瓦屋根はそもそも耐久性が高いために、メンテナンスの頻度も抑えられます。 手間や時間がかからずに、メンテナンスのコストも抑えられるというメリットがあります。

    瓦屋根のデメリット

    瓦屋根のデメリット
    瓦屋根のメリットがあれば、当然デメリットもあります。 メリットだけでなく、デメリットも正確に把握しておきましょう。
      • 重さがあるので耐震性が弱い
      • 初期費用がかかる

    重さがあるので耐震性が弱い

    瓦屋根は、他の屋根素材と比較すると重さがあるために、地震や台風などの災害に弱いというデメリットがあります。 地震や台風の被害を受けて、瓦が落ちたり割れている映像を目にした経験がある方も多いでしょう。 特に昔の瓦屋根は屋根に泥を塗って瓦を葺いていましたので、重量がありました。 揺れに対して建物が倒壊する前に、わざと重量のある瓦を落として対策としていたようです。 現代の瓦屋根は、ビスでとめるので従来よりは軽量化されています。 建物と屋根の重量のバランスが合っていれば、地震で倒壊の危険は少ないといえます。 瓦屋根の耐震性を考える場合には、屋根だけでなく建物全体としての対策が必要になります。

    初期費用がかかる

    瓦屋根は耐久性が高いのでメンテナンスのコストはかからないとお伝えしましたが、初期費用はかかると覚えておいてください。 ストレート屋根と比較した場合には、倍程度の初期費用が必要になるかもしれません。 メンテナンス費用が抑えられるので、長く住む家を建てる際には瓦屋根の方がトータル的には安くなる場合が多いようです。 細かい補修やメンテナンスの回数を減らしたい方は、初期費用がかかっても瓦屋根がおすすめです。

    瓦屋根のメンテナンス内容と費用

    瓦屋根のメンテナンス内容と費用
    メンテナンスの手間が少ない瓦屋根ですが、具体的にはどのようなメンテナンスが必要になるのでしょうか。 瓦屋根に必要なメンテナンスの内容やタイミングついて、まとめました。
      • 瓦のズレや破損による交換
      • 漆喰・棟瓦の補修
      • 防水シート劣化による葺きなおし
      • 瓦を全て取り替える葺き替え

    瓦のズレや破損による交換

    瓦は耐久性に優れているとご紹介しましたが、何かが飛んできてぶつかるような瞬間的な衝撃を受けると割れたり、台風でズレてしまったりする場合もあります。 瓦の下には防水シート(ルーフィングシート)がひいてありますので、すぐに雨漏りが起きるという心配はありませんが、交換修繕が必要です。 破損した部分のみの修繕が可能なので、短時間でメンテナンスできます。 一部分のみ差し替えた場合には、同じ瓦がないと色味の違いが気になるというお客様もいらっしゃいます。

    瓦のズレを直すのは5万円程度

    瓦のズレや数枚の破損部分を補修するのであれば、メンテナンス費用は5万円程度を想定しておきましょう。 足場が必要になったり、規模によって値段は異なりますが、2~3枚の修正であれば数万円、1時間以内で可能な場合もあります。 下地に問題がなく、瓦の位置を戻すだけなので、早く安く修理が完了します。

    漆喰・棟瓦の補修

    瓦屋根の上には、棟の土台として瓦の固定や接着の役割をする漆喰や棟瓦があります。 漆喰や棟瓦は雨水の侵入を防いだり、防水の機能がありますが、経年劣化してしまうので10年程度でメンテナンスが必要になります。 放置していると雨漏りの原因になったり、瓦が崩れてくる危険もあります。

    漆喰・棟瓦の補修費用

    漆喰の締め直しは、長さによって異なりますが25万円程度~を目安としておきましょう。 古くなった漆喰を取り外し、新しい漆喰を塗りこめていく作業です。 棟瓦の詰み直しになると、40万円程度~が補修費用となります。 こちらは棟の長さを12mとした場合も目安で、長さや補修範囲によって費用が異なります。

    防水シート劣化による葺きなおし

    防水シート劣化による葺きなおし
    瓦屋根の下には防水シート(ルーフィングシート)がひかれていて、瓦ではなくこの防水シートが雨漏りを防いでくれています。 瓦自体の寿命は50年以上ともいわれていますが、防水シートは20年~30年程度で経年劣化します。 屋根全体の瓦を一度取り外して、新しい防水シートを取り付けます。 瓦はそのまま使用できますので、葺き替え工事よりも費用は抑えられます。

    防水シートの葺きなおし費用

    防水シートの葺きなおし施工費用は、500〜800円/㎡が相場となります。 屋根の面積が80~100㎡の一般的な広さで、下地の修理なども含めるとトータル費用は120万円~150万円をイメージしておきましょう。 屋根のイメージを変えずにメンテナンスでき、屋根瓦を再利用できるので廃材が出ずに環境への配慮にもなります。

    瓦を全て取り替える葺き替え

    全体的な瓦屋根の劣化によって、全てを新しい材料に葺き替えの必要が出てくる場合もあります。 メンテナンスでは屋根の性能が維持できない、屋根全体が大きく傷んでいる場合には、内部まで劣化が進行しているという場合には、メンテナンスではなく葺き替えになります。 大がかりな工事になるので、本当にすべて葺き替えが必要なのかは考慮した方がいいでしょう。 信頼できる業者の方に、しっかりと状況を診断してもらう必要があります。

    瓦屋根全体の葺き替え費用

    屋根の面積が80~100㎡の一般的な広さの瓦屋根全体の葺き替えとなると、費用は150万円~200万円ほどかかります。 葺き替えは屋根に新しい材料を使用しますので、その分の費用もかかって高額となります。 屋根のイメージをガラッと変えることも可能で、屋根材の機能を確実に回復させられます。

    瓦屋根で快適な生活を

    瓦屋根は、他の屋根素材と比較しても機能性の高い素材です。 昔から日本で愛されているだけの理由があります。 初期費用はかかるかもしれませんが、メンテナンスの頻度や規模が小さく済むのも大きなメリットです。 瓦自体の寿命が長く、耐久性が高いので、長く住むマイホームには瓦屋根がおすすめです。 メリットだけでなくデメリットも考慮し、他の素材とも比較して、自慢のマイホームを彩る素敵な屋根を見つけてくださいね。
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