「和」と「モダン」が調和された和モダンは、
現代の和室のスタイルとして人気です。
日本には古くからある和室を、モダンに演出するにはどうしたらいいのでしょうか。
畳や襖(ふすま)、障子といった昔ながらの和室のアイテムも、現代風におしゃれなタイプを選んでいきましょう。
「和モダン」というスタイルは確立されていますが、お部屋のレイアウトは千差万別です。
和モダンのお部屋を作る前には、ぜひ参考になさってください。
和モダンと純和室
和モダンとは、
日本の古くからある伝統的な「和」とシンプルで現代的な「モダン」を融合させたインテリアスタイルです。
純和室だと、床の間や床柱があって…といった決まり事がありますが、和モダンは自由で型にはめられません。
他のスタイルとも馴染みが良いのが特徴で、リビングの一角に和モダンな空間があってもマッチします。
和モダンは、
和とモダンのバランスが重要です。
他の部屋のスタイルとのバランスを見ながら仕上げていけば、おしゃれな空間を作れるでしょう。
おしゃれな和モダンの作り方
おしゃれな和モダンを作るには、以下のようなポイントがあります。
ロースタイルで空間を広く
和室は畳に座り布団を敷いて寝るという、ロースタイル(低座)が基本です。
和モダンでソファーなどの家具を取り入れる際にも、ロースタイルを意識すると和室に合うコーディネートになります。
ロースタイルにすると圧迫感がなく、狭い部屋でも広く見せられます。
天井の高さを強調して、空間を広くするよう意識してみてください。
和とモダンを決める自然素材と無機質素材
和モダンで重要なのは、「和」と「モダン」のバランスです。
和に比重をおきたい場合には、和紙や麻やコットンといった自然素材を多く取り入れてみましょう。
モダンに比重をおきたい場合には、ガラスやアイアン家具といった無機質な素材を多く取り入れてみましょう。
部屋の壁紙や畳のカラーなどとのバランスも見て、総合的に決めていくといいでしょう。
部屋を引き締めるカラー
和室は全体的に淡い色使いが特徴ですが、
モダンも取り入れるのであれば部屋を引き締めてくれるようなアクセントカラーを入れてみましょう。
部屋の配色には黄金比率がありますので、カラーを取り入れる比率の参考になさってください。
|
全体の比率 |
主な場所 |
ベースカラー |
70% |
天井
壁紙 |
メインカラー |
25% |
家具
カーテン |
アクセントカラー |
5% |
クッション
小物 |
ベージュやグリーンといったアースカラーを取り入れると、和室の優しい雰囲気が出ます。
モダン風を強くするのであれば、黒や白など無機質な色味がメインになるでしょう。
アクセントカラーを決めて、各所に散らばるように配色するのもおしゃれです。
家具はモダンを合わせる
部屋の天井や壁紙を和室の雰囲気にして、
家具でモダンを合わせると失敗が少ないです。
ファブリック系のソファーも畳のような和のテイストとも、よく合います。
フレームに自然素材の木目が入ったような家具もマッチするでしょう。
無駄のないシンプルなデザインのものを選ぶと、モダンな雰囲気になります。
直線と曲線を意識する
古くからある和室は、畳や襖、障子といった
直線的なアイテムが多いです。
直線的な家具を取り入れてももちろんマッチしますが、
曲線を上手に使うとおしゃれな和モダンになります。
丸窓や丸窓障子をつくると目を引きますし、モダンな要素が入った和のアイテムになります。
フロアライトで曲線のあるタイプを選ぶのもよいでしょう。
直線の中に曲線を取り入れてみると、ワンランク上の和モダンな仕上がりになります。
和モダンなアイテムの使い方
和モダンを演出してくれるアイテムについて、ご紹介します。
スタイリッシュな畳を選ぶ
畳は和室の重要なアイテムのひとつです。
畳の機能には調湿機能があり、湿度が高い時には湿気を吸収し、乾燥している時には放出してくれます。
遮音性も高いので、マンションで下の階の方への配慮にもなります。
昔は板の間の寒さを解消するために畳が使用されていたという歴史もあり、畳には多くの機能性があるとわかります。
近年では縁なしの畳や、カラーが豊富な畳、正方形の畳など種類も多くあります。
おしゃれでデザイン性の高い、スタイリッシュな畳を選んでいきましょう。
沖縄の琉球畳
縁のない半畳サイズの正方形の畳が、沖縄の琉球畳です。
和モダンはもちろん、北欧スタイルやナチュラル系などのスタイルとも馴染みが良いのが特徴です。
市松敷きという並べ方で、市松模様のように目の向きを互い違いに敷く方法があります。
目の向きを変えるだけで畳の色が違うようにも見え、おしゃれな仕上がりになります。
存在感のあるカラー畳
カラー畳とは、
藺草(いぐさ)の肌触りや機能性はそのままに、カラーのバリエーションを増やしたものです。
一般的に畳のイメージとなっている若草色や黄金色以外にも、藍色や薄桜色といったカラーや、模様が入ったタイプもあります。
選ぶ色によってお部屋の雰囲気を作れますし、複数色を組み合わせて取り入れるのもおしゃれです。
光をデザインする窓
和モダンは自然素材も多く使われていますので、
窓から入る自然光も重要です。
窓の位置や大きさ、
和モダンに合う窓の種類についてお伝えします。
窓の大きさで明るさを調整
窓を大きく、しかも入口正面に設置すると、部屋全体が明るく開放的な部屋になります。
逆に少し暗さがあった方が落ち着くようなシックなイメージの和モダンなら、窓は小さめにしてもいいでしょう。
草木や花など、窓の外の景色が見えるようなレイアウトにすると、さらに素敵です。
地窓で変化を出す
和モダンに合う窓のひとつに、低い位置につける地窓があります。
地窓は低い位置にあるので、足元に光が入りますが高い部分は暗めなのでコントラストが楽しめます。
低い位置にあるので、高齢の方は開閉がし辛いといったデメリットもあります。
丸窓でフォーカスポイントをつくる
丸窓は曲線を演出できるアイテムで、和モダンな雰囲気によく合います。
外が見える窓として取り付けてもいいですし、リビングや廊下とつながるような窓にしてもいいでしょう。
ガラスはクリアガラスに限定されず、ステンドグラスのようなデザインも可能です。
丸窓は開閉できないのが一般的なので、換気には使用できないと覚えておきましょう。
丸窓はお部屋のフォーカスポイントになるような、存在感のある窓になるでしょう。
カーテンなどの窓を覆うアイテム
窓を設置したら、カーテンやロールスクリーンといった窓を覆うアイテムも考えなくてはいけません。
窓の大きさや種類と同様にお部屋の雰囲気を左右するアイテムなので、種類や素材を検討していきましょう。
種類を決める
窓を覆うアイテムには、これらの種類があります。
カーテンは種類も豊富で最も使い慣れたアイテムですが、開けた時の左右の「たまり」が和モダンの場合には重たさを感じてしまうかもしれません。
ロールスクリーンやブラインドは「たまり」もなく、スッキリとした印象です。
表面に折り目がついたプリーツスクリーンは、障子のような風合いがありスッキリとしますので、和モダンにおすすめです。
素材を選ぶ
窓を覆うアイテムが決まったら、素材も決めていきます。
素材によっては、「和」と「モダン」の比率にも関わってきます。
カーテンは布製で、和の雰囲気を強くしたいのであれば織り糸が太いタイプがおすすめです。
和紙調のプリーツスクリーンやロールスクリーンを選べば、上品な和のテイストが味わえるでしょう。
木製のブラインドなどは、柱の多い和室によく合います。
お部屋の雰囲気に合わせて、調和のとれた素材を選んでください。
壁紙にもカラーを入れる
壁紙には多くの面積を占める「ベースクロス」と、アクセントとして取り入れる「アクセントクロス」「ポイントクロス」があります。
ベースクロスは落ち着きのある、調和しやすい色を選びましょう。
アクセントクロスとして、特徴的なカラーや柄を取り入れると表情の違いが楽しめます。
藍色や深緑を取り入れたり、漆喰の塗り壁も和モダンに合うチョイスです。
障子の格子やデザイン
障子は外からの視線を遮ったまま、光りを取り込めるというメリットがあります。
直射日光を遮ってくれたり、吸湿性や断熱性という機能もあります。
昔のデザインをそのまま使うよりも、格子や障子紙をモダンテイストのものを選びます。
格子を太くしたり間隔をあけたりとデザインを選べますし、色の指定も可能です。
障子紙は昔ながらの和紙だけでなく、柄や透かしが入ったものがあります。
デザイナーズ障子と呼ばれるインパクトのある障子もありますので、こだわりは尽きません。
モダンな襖を選ぶ
襖紙は壁紙のように大きく目をひくアイテムなので、デザインはこだわりたいポイントです。
壁紙と似たような色や柄を選べば馴染みのよい襖になり、部屋に一体感がでます。
襖の柄や色を選べば、アクセントにもなります。
花柄がついていたり、カラフルな色味がついているものもありますので、じっくり選びましょう。
和モダンの主役にもなれるアイテムですが主張が強いものもあるので、壁紙や窓との相性も考えて選んでください。
和を強くしない床の間
床の間とは、
和室の一角にあり一段高くなったスペースで、昔の家では壺がおいてあったり掛け軸がかけてあったりしました。
従来は飾り物をしたり、お客様をお迎えしたりする場所でしたが、和の要素が強いので現代では床の間を作るかをまずは検討した方がいいかもしれません。
格式のある和室といった雰囲気になりますが、床の間を作るならそのスペースを収納にしたいと考える方もいるでしょう。
床の間を和モダンに飾るのであれば、間接照明を入れて演出するのもおすすめです。
おしゃれを演出する照明
どんな部屋でも照明の雰囲気は重要で、お部屋の雰囲気作りには欠かせない要素です。
照明の主役になるライトは、主にこの3つです。
照明の種類 |
形式 |
ペンダントライト |
天井から吊り下げる照明 |
ダウンライト |
天井に埋め込む照明 |
間接照明 |
壁や天井を照らし反射光を利用する |
ペンダントライトは照明器具のデザインを目立たせたい方におすすめです。
部屋の広さと照明のサイズを合わせないと、照明が目立ちすぎて違和感が出る場合もありますので注意しましょう。
ダウンライトは天井に埋め込むのでメインにするのであれば、4~6灯つけましょう。
部屋がスッキリして、和モダンだけでなくどんなテイストの部屋とも相性が良いです。
明るさが足りない部分には
間接照明を使うと、光と影が際立っておしゃれになります。
光の色味や明るさも計算して、部屋のムードを作りましょう。
天井に「和」を入れる
昔の和室の天井は竿淵天井や目透かし天井でしたが、古臭さが出てモダンな雰囲気には合いません。
梁のようにアクセントに木材を使用する方法もありますが、
和紙のアクセントクロスを使うのがおすすめです。
アクセントクロスとは、壁面4面とは違う色や柄にするクロスです。
天井に木目を意識すると「和」の要素の濃いお部屋に仕上げられます。
和室の良さを大切に
古き良き日本の和室を現代風に取り入れたのが、和モダンです。
おしゃれな部屋というだけでなく、
日本人ならどこか落ち着きを感じるような空間になるでしょう。
和モダンは、「和」と「モダン」のバランスが重要とお伝えしました。
アイテムはいくつかありますが、その中でも和の要素を強くするのか、モダンの要素を強くするのかは、お好み次第です。
壁紙や天井、窓といった部分は手軽にリフォームできる場所ではないので、
カーテンや家具、小物で和とモダンのバランスを調整するのがおすすめです。
和柄はシンプルなものばかりではなく、個性のあるタイプもありますので、柄と柄を合わせる際には注意しましょう。