間接照明とは?種類や失敗しない設置のテクニック&メリット・デメリット

2023.08.04
    間接照明とは、壁や天井に光をあてて、間接的な光を照らす照明方法です。 暖かみのある光に癒しを感じる方は多いのは、日本人は古来から行燈(あんどん)という天然の間接照明を使用していたという歴史があるからかもしれません。 現代では間接照明は、おしゃれなインテリアとしても人気があります。 しかし気楽に取り入れると失敗してしまうかもしれませんので、間接照明を取り入れる前には少し知識が必要です。
      • 間接照明の種類とは?
      • 上手に取り入れるためのテクニックとは?
      • 間接照明のメリット・デメリットとは?
      • おすすめの照明器具とは?
    間接照明について、まとめました。

    間接照明とは

    間接照明とは、光を直接照らすのではなく壁や天井に反射させて、間接的な光を照らす照明方法です。 間接的に照らすので、柔らかく、陰影のコントラストを演出できます。 直接照明が対義語になり、光源から直接光をあてる照明方法です。 明るい光をそのまま使うので照明効率が高く、照明器具の数や電気代といった点を考慮すると経済的にも優れている方法といえます。 部屋の用途や求める雰囲気に合わせて、間接照明を上手に取り入れていきましょう。

    間接照明の種類

    間接照明は大きく3つの種類があります。
      • 天井に光を反射させる「コーブ照明」
      • 壁に光を反射させる「コーニス照明」
      • 両方を取り入れた「バランス照明」
    これらの照明の特徴について、ご紹介します。

    天井に光を反射させる「コーブ照明

    天井に光を反射させる「コーブ照明」
    コーブ照明とは、天井に光を反射させる間接照明です。 天井に明かりがあるので目線が上に行きやすく、天井が高く、部屋は広く見えます。 天井に設置する間接照明なので、家の建設時にコーブ照明を入れる想定をして天井を設計します。 天井を2段にして段差の部分に照明を入れる、折り上げ天井という形が多いでしょう。 後から取り付けるのは難しい間接照明です。 広い天井全体を照らしてくれますので、部屋全体も明るくなるでしょう。

    壁に光を反射させる「コーニス照明」

    壁に光を反射させる間接照明を、コーニス照明といいます。 コーブ照明は上向きに照明を取り付ける場合が多いですが、コーニス照明は照明を下向きに取り付けて壁を照らす方法もありますので、部屋がより明るく感じられるでしょう。 壁に照明を設置するので、コーブ照明と同じく建設時に設計しておく必要があります。 建設後に設置したい場合は、テレビの後ろや棚の後ろのように家具を活用する方法がおすすめです。

    両方を取り入れた「バランス照明」

    コーブ照明とコーニス照明を両方取り入れたのが、バランス照明です。 同時に取り入れれば、部屋の明るさを維持できますし、さらに奥行きや部屋の広がりを感じられるようになります。 上下に光を演出できますので、よりおしゃれな空間をつくれるようになります。

    間接照明のテクニック

    間接照明のテクニック
    間接照明を取り入れる前に、知っておきたいテクニックをご紹介します。 雰囲気だけで取り入れるのではなく、必要なポイントきちんと計算しなくてはいけません。
      • 間接照明の設計の検討
      • 被照射面の特徴を把握する
      • 間接照明の色を考慮する
      • カットオフラインを調整する
      • 隣接する面との適切な長さ
      • 光の分散or光の集中
    これらの間接照明のポイントについて、ご説明します。

    間接照明の設計の検討

    間接照明は光源が反射する美しさを作るための照明なので、光源は隠して設計するのが基本です。 光源が直接目に入ると不自然な眩しさを感じますし、空間の雰囲気が壊れてしまいます。 建設場所や照明サイズの検討不足が考えられますので、このような失敗はないようにしておきたいものです。 建設は問題がなくても、実際に住み始めたらカレンダーや壁掛け時計を取り付けている方もいます。 生活感のあるアイテムがドラマチックに照らされて、「ちょっと違うな」と感じる方もいるようです。 設計の段階で、家具の配置も考えておくといいでしょう。

    被照射面の特徴を把握する 

    間接照明をあてる天井や壁の特徴を正しく把握しているでしょうか。 重要なのは、素材・色・ツヤの有無です。 素材がクロスシートなのか塗壁なのかによって、間接照明の印象も変わります。 光の明るさを確保したいのであれば、被照射面の色を明るい白、明るさを抑えたいのなら暗い色、空間全体の統一感を意識するなら天井や壁と同じ色にするといいでしょう。 ツヤがある素材だと、被照射面に光源が写りこんでしまう場合もあるので注意しましょう。

    間接照明の色を考慮する

    間接照明の色を考慮する
    被照射面の素材や色を考えるように、間接照明の色も考えてみましょう。 照明の明かりはK(ケルビン)という単位で表現され、色温度が異なります。 K(ケルビン)の数値が低い方が暖色系となり、高くなると寒色系になります。 太陽に近いのが昼白色で約5,000Kとなっています。 色温度の種類は、大きく5種類の色に分けられます。
    種類 色温度/K(ケルビン)
    昼光色 6,500K
    昼白色 5,000K
    白色 4,200K
    温白色 3,500K
    電球色 2,800K
    電球色はオレンジっぽい色味で、落ち着きのある雰囲気なので、和室や寝室、料理を照らすリビングにも向いています。 集中力を高めてくれる昼光色はスッキリとした印象の書斎や勉強部屋、読み書きをする部屋に向いています。

    カットオフラインを調整する

    カットオフラインとは、光源の光があたる部分とあたらない部分の境目です。 間接照明は柔らかかくホワっとした明かりが望ましいので、カットオフラインがくっきりできてしまうと残念な間接照明となってしまいます。 間接照明の仕上がりを考えるのであれば、カットオフラインを計算しておかなくてはいけません。 光源の位置やボックスの深さなどを考慮して、ボックスの角にカットオフラインがくるようにするといいでしょう。

    隣接する面との適切な長さ

    天井や壁に照明器具を設置する際に、照明器具の長さが合わないという場合があります。 短い照明器具を連続して設置した場合に、間が空いてしまうとダークスポットという暗がりができてしまう場合もあります。 壁面の長さに対して照明器具の長さが足りずに、端まで照明がついていない仕上がりになっているケースもあります。 逆に端まで照明器具を設置すると、今度は壁面にV字の光ができてしまうという失敗もあります。 間接照明の仕上がりをイメージして、適切な照明器具の長さを考えるのも重要です。

    光の分散or光の集中 

    間接照明を設置する際には、空間全体のバランスを考えて、光を分散させる場所と集中させる場所を意識してみましょう。 高低差をつけたり、距離をとって光を分散させたりすると、部屋全体に陰影がうまれ立体感のある部屋になります。 お気に入りの家具や絵など見せたい物がある場合には、逆にわざと光を集中させるという方法もあります。 目線を集中させると部屋のアクセントにもなりますので、バランスよく取り入れてみましょう。

    間接照明のメリット

    間接照明のメリット
    間接照明のメリットには、以下のような項目があります。
      • リラックス効果がある
      • インテリアになる
      • 空間の奥行きや広がりができる

    リラックス効果がある

    直接光があたらない間接照明は、暖かみのある穏やかな光でリラックス効果が期待できます。 家族が集まるリビングや、ゆったりとした時間を過ごしたい寝室におすすめの照明です。 リラックスできる時間ができると心の余裕もうまれ、質の良い睡眠は質の良い生活につながります。

    インテリアになる

    おしゃれな家具や壁紙に注目する人は多いですが、さらに照明にもこだわるとインテリアが映えます。 照明の雰囲気は、部屋全体のイメージを決めるほどに重要な要素となり、影響が大きいものです。 コーブ照明やコーニス照明であれば、光源を隠して間接照明をつくりだしていますので、部屋がすっきりと見えるのもポイントです。 家具や雑貨の配置と同時に、間接照明も上手につかってまとまりのあるインテリアにしましょう。

    空間の奥行きや広がりができる

    天井や壁面に間接照明をあてると、暗く圧迫感があった場所を明るく演出できます。 視覚的に空間の奥行きと広がりを出してくれます。 狭い部屋を広く見せるテクニックとして、間接照明を取り入れる方もいます。 広さを意識するのであれば、背の低い家具を設置して、明るい色味を用いたコーディネートがおすすめです。

    間接照明のデメリット

    間接照明のデメリット
    間接照明にはデメリットもありますので、確認しておきましょう。
      • 照明の器具台数が必要
      • ランプ交換が大変

    照明の器具台数が必要

    間接照明は、照明としての効率は良くありません。 そのため直接照明と比較すると、4倍程度の器具台数が必要になるともいわれています。 設置場所が増えると、その分建設時の費用もかかります。 器具台数が増加すると、消費電力も比例して増加しますので維持費もかかると覚えておきましょう。

    ランプ交換が大変

    コーブ照明やコーニス照明は、天井や壁に設置されていますのでランプの交換が大変です。 LEDなど寿命ができるだけ長いランプを選ぶのは、鉄則です。 掃除をするにもしにくい場所に設置されているのが常なので、掃除やランプの交換といったメンテナンスに関しては最初に確認しておくと安心です。

    間接照明に使用する照明器具

    間接照明に使用する照明器具の種類について、5種類をご紹介します。 それぞれの魅力や特徴を生かした空間作りができるよう、適切な照明を探しましょう。
      • 一ヶ所を照らす「スポットライト」
      • 壁に設置する「ブラケットライト」
      • 手軽に設置できる「スタンドライト」
      • 棒状の「ライトバー」
      • テープにLEDがついた「テープライト」
    建設工事の必要がなく、リフォームや模様替えでも取り入れられるタイプもあります。

    一ヶ所を照らす「スポットライト」

    集中して一ヶ所を照らす照明をスポットライトといいます。 ピンポイントで照らせるので、模様替えの際など手軽に取り入れられます。 シェードの向きや角度を変えるだけでも表情が変わりますので、好みの部屋がつくりやすいです。 スポットライトを複数個並べて、壁にあてて間接照明にする方法もあります。

    壁に設置する「ブラケットライト」

    壁に設置する「ブラケットライト」
    ブラケットライトとは、壁に取り付ける間接照明で補助光として部屋を照らします。 スタンドライトのような床のスペースは不要ですが、建設時に取り付けておかなくてはいけません。 ブラケットライトはひとつで存在感のある照明になります。

    手軽に設置できる「スタンドライト」

    手軽に設置できる「スタンドライト」
    スタンドライトは床に置いて使用する間接照明で、手軽に設置したり、持ち運びが簡単にできたりするのが特徴です。 模様替えで雰囲気を変えるのも、部屋を移動させるのも自由です。 スタンドライトの中でもアップライトという種類は、天井向きに光がでる照明なので、簡単におしゃれな間接照明になります。

    棒状の「ライトバー」

    ライトバーとは、LEDライトが棒状に並べられた照明器具です。 テレビや家具の後ろに設置できるタイプで、初心者でも簡単に取り付けできるのがメリットです。 光源を上手に隠して設置するのがポイントで、壁向きにつけたり、足元を照らすようなライトにしてもいいでしょう。

    テープにLEDがついた「テープライト」

    テープライトとは、柔らかいテープにLEDライトがついたテープ状の照明器具です。 ライトバーは硬い棒状なので、設置する場所によって適した方を選択しましょう。 簡単に形を変えられますし、軽くて扱いやすいので、初心者でも取り付け可能です。 必要な長さにカットできて使い勝手が良いですが、テープは粘着力が強いので張り直ししなくてもいいよう慎重に貼りましょう。 設置する場所をよくイメージして、長さに合うテープライトを購入するのがおすすめです。

    間接照明でリラックス空間を

    間接照明には、コーブ照明、コーニス照明、バランス照明があり、これらは建設工事が必要です。 新築で家を建てる時や、大がかりなリフォームをする時には、適切な設計をして、家具やインテリアも合わせてイメージしておきましょう。 大がかりな工事が不要の間接照明もあり、スポットライトやスタンドライト、ライトバーは、初心者でも手軽に取り入れられます。 間接照明でゆったりとできるリラックス空間を作って、疲れた体を休められる部屋を作っていきましょう。
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