土間リビングのメリット・デメリット&失敗しない建設時のポイントとは?
土間リビングとは、リビングの一部分に土間のような一段低くなった空間を作り、室内と屋外を繋ぐような役割をする間取りです。 アウトドアを楽しむ方や特別な空間を作りたいという方は、土間リビングに魅力を感じているでしょう。
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- 土間リビングのメリットやデメリットとは?
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- 建設時のポイントとは?
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- 土間リビングの間取り例とは?
土間リビングの魅力やデメリットの対策方法まで、まとめました。
土間リビングとは
一般的な家のリビングは、フローリングやカーペットの床で靴を脱いで過ごします。 土間リビングとは土足を前提とした空間で、コンクリートやタイルでつくられています。
土間は「玄関」や「昔の平屋の台所」といったイメージがある方も多いでしょうが、リビングに取り入れて生活の中心に活用するのが「土間リビング」です。 室内でありながら屋外のような使い方もできるので、使い勝手がよいと感じる人が多いのです。
ライフスタイルや家族環境によって、個性ある空間をつくれるのが土間リビングです。
土間リビングのメリット
土間リビングのメリットについて、ご紹介します。 家の中と外を明るくつなぐ空間である現代の土間リビングには、どんな魅力があるのでしょうか。
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- 人が集まりやすい
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- 多目的な空間になる
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- 汚れが気にならない
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- 屋外で使う物を収納できる
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- 夏場は足元が気持ちいい
人が集まりやすい
土間リビングは、10cm~30cmの段差をつくって他のフロアよりも低く設計されている場合が多いです。 他のフロアとは違う素材をつかいますので、視覚的な変化ができて開放感がうまれます。
窓を大きくすれば、さらに屋外との境界線が緩やかになり、一体感を感じやすい空間になります。 来客が立ち寄りやすい場所となり、家族も自然と土間リビングに集まるようになるでしょう。
多目的な空間になる
室内からも屋外からも出入りが楽な土間リビングは、多目的に使えます。 普通のリビングではできないような、ガーデニングやDIYも土間リビングなら快適に楽しめます。
自転車やバイクを置くスペースにする方もいますし、トレーニングをしたり陶芸をする方もいます。 大前提としてリビングなので、家族を感じながら過ごせるというのが魅力のひとつです。
子供やペットが思いっきり遊べるスペースとして活用される方も多いようです。 日差しが強い日はサンルームとして使ったり、雨の日でも気になりませんので、天候に左右される心配もありません。
汚れが気にならない
土間リビングは土足で過ごす前提の空間なので、室内のように汚れが気になりません。 足元の素材はコンクリートやタイルが一般的なので、汚れがついてもサッと拭き取れば問題ありません。
カーペットだと子供が飲み物をこぼした時には汚れが残ってしまう心配がありますが、土間なので掃除が楽になります。 汚れがつきにくいだけでなく耐久性もあるので、傷がつきにくいという特徴もあります。
フローリングだと傷がつく心配があったかもしれませんが、大きな物を出し入れする際も安心です。 いざという時には水洗いをしてもいいので、掃除がしやすい、メンテナンス性が高いというのもメリットです。
外で使う物を収納できる
土間リビングは、屋外に隣接して設計されている場合が多いので、玄関を通らずに直接土間リビングに入れます。 野球の道具やアウトドアグッズはもちろん、ガーデニング用品やベビーカーも収納できます。
リビングと同じ空間になるので、趣味の道具はあえて見せる収納をするのもおすすめです。
夏場は足元が気持ちいい
土間リビングに使用されるコンクリートやタイルは、冷たいので夏場は涼しく過ごせます。 熱伝導率が高いのが理由で、土間部分が広いほど部屋全体が涼しく感じられるでしょう。
夏のエアコン代の節約にもなりますし、外に出られないような猛暑日でも快適な空間になります。 土足で使用するのが前提と先述しましたが、土間リビングを普通のリビングのように素足で過ごす方もいらっしゃいます。
土間リビングのデメリット
メリットがあれば、必ずデメリットもあります。 住んでから「こんなはずじゃなかった」とならないよう、土間リビングのデメリットについても正しく理解しておきましょう。
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- 靴の脱ぎ履きが面倒
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- リビングに段差ができる
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- 建設費用がかかる
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- 冬場は足元が冷える
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- 汚れが溜まりやすい
靴の脱ぎ履きが面倒
土間リビングを土足で使用する場合には、靴の脱ぎ履きがあるので面倒だと感じる方もいるようです。 玄関で脱いだ靴を土間リビングでも使いたい、逆に土間リビングで靴を脱いだ後に玄関から出かける際に靴がない、というストレスが出るかもしれません。
土間リビングではサッと履けるサンダルを用意するなど、対策を考えておく必要がありそうです。 家全体としての動線もイメージしておくといいでしょう。
リビングに段差ができる
土間リビングはわざと段差をつくるので、小さな子供や高齢の家族がいる場合にはデメリットとなる可能性もあります。 ベビーカーや車椅子をそのまま出し入れできる場所になるだけに、安全面を考えると悩ましいところです。
段差を低くするなどの対策もありますので、ベストな形を検討して建設する必要があるでしょう。
建設費用がかかる
土間リビングをプランに入れると、普通のフローリングの床のリビングよりも建設費用がかかる場合があります。 土間をつくるには、左官(こてを使って壁や塀を塗り上げる職人)やタイル職人が必要になるためです。
とはいっても、玄関やアプローチで職人が元々入る予定になっているケースでは、費用に差が出ない場合もあります。
冬場は足元が冷える
コンクリートやタイルは夏場は涼しく過ごせますが、冬場はその特徴がデメリットとなります。 土間リビングは一段低い場所にあるという特性もあり、より寒さを感じやすくなります。
土間には床下の空気層がないので、他のフロアよりも寒さが溜まりやすくもなります。 エアコンで温めた空気は上にいってしまうので、足元を温めるヒーターをおいておくのもよいでしょう。
断熱材を入れるなど、建設段階でできる対策もあるので相談してみましょう。
汚れが溜まりやすい
屋外との行き来がしやすいのが土間リビングのメリットですが、その反面、汚れが溜まりやすいというデメリットがあります。 外から汚れを持ち帰りやすいという点と、風が吹くとほこりが端の方に溜まりやすいという点があります。
外の汚れを持ち込まないように意識したり、段差の端の掃除をこまめにするなど対策しましょう。 掃除は楽にできるというメリットがありますので、日常的に掃除するようにしましょう。
土間リビング建設時のポイント
土間リビングのデメリットも考慮した上で、建設時のポイントについてご紹介します。 以下の項目を意識しておくと、住み始めてから後悔しない土間リビングができるでしょう。
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- 寒さ対策をしておく
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- 湿気対策をしておく
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- 段差の高さを考える
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- 床材の選び方
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- 照明やコンセントの数
寒さ対策をしておく
土間リビングをプランに入れる際に、最も意識しておきたいのが寒さ対策です。 夏のメリットはそのままに、冬も快適に過ごせる土間リビングを目指しましょう。
土間リビングでできる寒さ対策には、以下のような方法があります。
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- 基礎部分に断熱材を入れる
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- 薪ストーブを用意する
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- 床暖房をつける
床の冷えは下から伝わるので、基礎部分に断熱が不十分だと寒い土間リビングになります。 薪ストーブは土間リビングとも相性のよい暖房器具なので、購入する方が多いようです。
床暖房をつけておけば、冬場も外の景色を楽しみながら、ゆったりと過ごせるでしょう。 予算はかかりますが、土間リビングなら、配管を埋め込む「直埋利式床暖房」の設置が可能です。
湿気対策をしておく
土間は一般的に湿度が高くなりやすい場所で、結露ができやすいともいわれています。 土間リビングは、外から水分を含んだ泥のついた物を持ち帰る日もあるでしょうし、雨で濡れたレインコートや洗濯物を干す日があるかもしれません。
湿気対策としては、断熱材だけでなく防水シートも引くといいでしょう。 風が流れやすい位置に窓を設置する、換気扇をつけておくというのも対策になります。
段差の高さを考える
小さな子供や高齢の家族がいる方にとっては、土間リビングの段差がデメリットになるとお伝えしました。 そのため家族構成や用途をイメージした、適切な段差をつくるのが重要になってきます。
安全面を考えて土間リビングの段差を低くすると、昇降は楽になりますが、外の汚れが他のフロアにも入り込みやすくなります。 土間リビングの段差を高くすると、昇降は少し大変になりますが、段差をベンチのように座って楽しむというくつろぎ方もあります。
どのように使いたいのか、見た目はどうしたいのか、土間リビングに求めるポイントを明確にして考えてみましょう。
床材の選び方
土間リビングに用いられる床材には、種類があります。 それぞれのメリットやデメリットもご紹介しますので、参考になさってください。
床材 | 特徴 | メリット | デメリット |
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コンクリート | セメントに砂や砂利を混ぜたもの | 掃除がしやすい 床暖房に合わせやすい 安価 | 劣化でひび割れる 吸水性がありシミになる |
モルタル | セメントに砂を混ぜたもの | 掃除がしやすい 床暖房に合わせやすい 安価 | 劣化でひび割れる 吸水性がありシミになる |
タイル | 石や粘土を焼成したもの | 色や模様が豊富 和洋どちらも合う 耐久性がある | 汚れが溜まる 高額 |
天然石 | 天然のものなので一点物 | 高級感がある 水拭きできる 硬くて丈夫 | 滑りやすい 高額 |
土間リビングと一口に言っても、素材によっては見た目やコストに差がでます。 他のフロアとの統一感や家具とのイメージなども考慮して、土間リビングの素材を選びましょう。
照明やコンセントの数
夜間や悪天候の日でも快適に過ごせるように、土間リビングの用途に合わせた照明を設置するのも忘れないようにしましょう。 自転車やバイクのメンテナンスなど趣味の空間にする、読書やDIYを楽しみたい、という場合には、明るさも必要になります。
さらにコンセントも多めにつけておくと安心です。 今後、土間リビングの用途が変わる可能性もありますし、冬場に暖房器具を増やすかもしれません。
自由な空間にするためにも、照明やコンセントは余裕のある設置がおすすめです。
土間リビングの間取り例
土間リビングの活用方法は無限にありますが、ここではよくある間取りの例をご紹介します。
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- 子供の遊び場にする土間リビング
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- アウトドア用品を眺める土間リビング
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- ダイニングにする土間リビング
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- リビングと庭をつなぐ土間リビング
子供の遊び場にする土間リビング
小さな子供がいる家庭では、素足で行き来できる遊びスペースとして土間リビングを活用してみてはいかがでしょうか。 リビングから一段下がった空間なので、特別な場所になります。
窓の外にはウッドデッキを設置しておくと、そのまま屋外で遊ぶのも可能になります。
アウトドア用品を眺める土間リビング
土間リビングはアウトドアを楽しむ家族には、もってこいの空間です。 スキーや登山、ツーリングなどのアウトドア用品を、インテリアとして見せる収納にしても楽しめます。
家族全員が違うアウトドアの趣味をもっていて、アウトドア用品の収納場所に困っている家庭におすすめの間取りです。 お気に入りのグッズを眺めながら、コーヒーでくつろぐ時間をもてるのも、土間リビングならではです。
ダイニングにする土間リビング
土間リビングにテーブルや椅子を置いて、ダイニングのように使うのもおすすめです。 ご近所さんがちょっと寄っていくスペースにしたり、大きな荷物を入れる動線にしたりと使い勝手がよい空間になるでしょう。
土間リビングにソファーを置くと、よりくつろげる場所になり、家族が集まってくるでしょう。
リビングと庭をつなぐ土間リビング
リビングと庭の間に土間リビングをつくれば、庭が見渡せる開放感のあるスタイルになります。 庭へのアクセスが良くなりますので、玄関を経由せずに庭に出られますし、友人を招いてバーベキューをする際には、広いスペースが確保できます。
ペットや子供が庭で遊ぶ際の休憩スペースとしても、くつろげる空間になるでしょう。
快適な土間リビングを
土間リビングは、用途によってさまざまな表情を見せてくれる部屋です。 大人の趣味を追求してもいいですし、子供やペットが楽しむ場所にしてもいいでしょう。
足元が寒くなるといったデメリットを理解して、できる対策はきちんとしておくと、後悔せずに快適に過ごせるでしょう。 ライフスタイルや家族の希望によって、唯一無二の土間リビングをつくってくださいね。