壁材の種類はいくつある?メリット・注意点などの特徴も解説します
内壁にはクロスやタイル、塗壁などがあります。壁は室内の大部分を占めるため、素材や色によってイメージが大きく異なります。その後の家具選びにも影響を与えるので、壁材は慎重に選びたいものです。
今回は、壁材の種類やそれぞれの素材が持つメリット・注意点についてお伝えしていきます。
壁の種類は大きく2種類
壁には「真壁(しんかべ)」と「大壁(おおかべ)」の2種類があります。簡単に説明をすると、室内から柱や梁が見えているか隠れているかの違いです。それぞれどのような壁なのか、特徴とともにご紹介します。
真壁(しんかべ)
真壁は、室内から柱や梁が見えます。柱と柱に壁を挟んだような見た目で、日本で古くから採用されている伝統建築です。
家の和室や旅行で訪れた旅館などを思い返すと、部屋から柱や梁が見えていたのではないでしょうか。真壁は和の雰囲気が出るため、和室で採用したり、和風モダンのイメージに仕上げたりしたいときにおすすめです。
また、真壁は柱や梁が湿度調整の役割があるため、日本の気候にも適しています。木のぬくもりや香りを感じられるため、暖かみのある家にしたいときに向いている内壁です。
大壁(おおかべ)
大壁は柱や梁が内側に隠れています。現在の住宅では大壁が主流になっており、いまお住まいの家も室内からは柱が見えない状態ではないでしょうか。
大壁は表に柱や梁が露出せずフラットなため、すっきりとした印象に仕上げられます。洋風のインテリアにあわせやすいのも特徴です。
また、真壁よりも断熱性や耐震性が高まり、コストを抑えやすいことから、性能面とコスト面を重視する場合におすすめです。
壁の素材・材質は大きく5種類
壁の素材や材質は部屋のイメージを左右するため、部屋の用途や雰囲気に合った素材や材質を選びましょう。壁の素材・材質を5種類ご紹介します。
1. クロス(壁紙)
2. ビニールクロス
3. 紙クロス
4. 織物クロス(布クロス)
5. タイル
ひとつずつ特徴を説明していきましょう。
クロス(壁紙)
クロス(壁紙)は、住宅内装でもっとも多く使われています。
【クロス(壁紙)のメリット】
・手入れが簡単
・リーズナブル
・デザインや機能のバリエーションが豊か
【クロス(壁紙)のデメリット】
・年数が経つとつなぎ目が目立つ
・はがれる場合があり再施工が必要なことがある
クロス(壁紙)のメリットは手入れが簡単で、張り替えもしやすい点です。また、素材やデザインが豊富でありながら、価格もリーズナブルなのも人気の理由です。
ただし、取り入れやすい反面、年月が経つとつなぎ目が目立ったり、はがれたりする場合があります。一般的には5〜10年で張り替えが必要とされており、クロスは消耗品であると考えたほうがよいでしょう。
ビニールクロス
ビニールクロスは、塩化ビニール樹脂を主な素材としており、壁紙のなかでもっとも普及しています。
【ビニールクロスのメリット】
・掃除がしやすい
・色やデザインが豊富
・価格が安い
【ビニールクロスのデメリット】
・通気性がないため結露やカビが発生することがある
・部分補修ができない
ビニールクロスのメリットは、カラーやデザインが多彩なことです。レンガ風や大理石調、エンボス加工など、さまざまなデザインがあるので、室内の雰囲気にあわせて選べますよ。
デザインだけでなく、消臭や防カビ、防湿などの機能を持ったビニールクロスもあります。ビニールクロスのデメリットは、通気性がなくカビなどが発生しやすいことですが、防水や防カビ機能がついたものを選べばデメリットも抑えられます。
また、部分補修ができないため、一部がはがれても一面を張り替えなければならない点は注意が必要です。
ビニールクロスは水拭きで汚れを落とすことができ、価格も安いものから選べるため、どの部屋でもコーディネートしやすいクロスです。
紙クロス
紙クロスはパルプ材を原材料とし、エンボス加工やプリントが施されたクロスです。
【紙クロスのメリット】
・柔らかい雰囲気になる
・通気性がある
【紙クロスのデメリット】
・費用が高め
・汚れに弱い
紙クロスは、パルプ材やコウゾミツマタを原材料とした和紙、合成紙などがあります。ビニールクロスと比べテカリがなく、室内を柔らかい雰囲気にする点がメリットです。
一方、汚れがついてしまうとシミになりやすく、手入れがしにくいのは注意したいポイントです。
欧米の紙クロスは大胆なデザインも多く、個性的な部屋にしたい場合にも向いています。和紙のクロスであれば、自然素材を原料としているため室内環境にも優しく、調湿性能も備えています。
織物クロス(布クロス)
織物クロス(布クロス)は、麻や綿、レーヨンを素材としたクロスです。
【織物クロスのメリット】
・重厚感や高級感を演出できる
・通気性と調湿性に優れている
・耐久性がある
【織物クロスのデメリット】
・費用が高め
・ホコリがつきやすい
織物クロスは、織物やフェルト、不織布などを紙で裏打ちした壁紙です。重厚感があり華やかな雰囲気を演出できるため、美術館やホテルで採用されることが多いですが、近年は住宅のリビングや寝室などにも使われています。
織物クロスは隙間があるため通気性があり、湿度調整にも優れている点がメリットです。ホコリを吸着しやすく水拭きができないため、はたきや掃除機をかけて手入れをする必要があります。
タイル
陶器や磁器が材質となるタイルは、キッチンや浴室などの水回りで使用されることが多い素材です。
【タイルのメリット】
・耐久性、耐水性に優れている
・質感やデザインが豊富
【タイルのデメリット】
・施工費用がかかる
・手入れを怠るとカビが生える
タイルは外壁に使われているほど耐久性があり、少しの衝撃では壊れません。耐水性にも優れているため、水回りを中心に使用されており、手入れも簡単な点がメリットです。
タイルを使用する面積が増えれば増えるほど費用はかかりますが、質感やデザインが豊富なため、複数のタイルを組み合わせてオリジナリティ溢れる空間にすることもできます。
調湿性や消臭機能がついたタイルも増えており、水回り以外にもリビングや寝室で採用されることも増えています。
伝統的な塗壁の種類は4種類
塗壁は日本で昔から使われており、防火性や調湿性、防音性に優れています。素材や職人の塗り方によって、さまざまな表情を見せるのも塗壁の特徴です。塗壁の種類は以下の4つです。
1. 漆喰壁(しっくいかべ)
2. 珪藻土(けいそうど)
3. プラスター
4. 土壁
それぞれ見ていきます。
漆喰壁(しっくいかべ)
漆喰壁は、消石灰に砂や糊を混ぜて土壁の上に塗り上げます。
【漆喰壁のメリット】
・耐久性、調湿性、耐火性に優れている
・メンテナンスが簡単
【漆喰壁のデメリット】
・費用がかかる
・職人の技術に左右されやすい
漆喰壁は劣化しにくく、調湿性や抗菌性があります。また、耐火性にも優れており、不燃材料に認定された材質です。万が一、火災が起きても火の回りが遅く、有毒物質が発生する可能性も低いとされています。
漆喰壁と聞くと和風のイメージがありますが、表面の仕上げ方によって、洋風・和風どちらの住宅にも合いますよ。
ただし、施工に時間と費用がかかり、仕上がりは職人の技術による点には注意しましょう。
珪藻土(けいそうど)
珪藻土は、植物プランクトンの死骸が海や湖で堆積した土から採取した素材です。
【珪藻土のメリット】
・調湿性、吸水性、耐火性、断熱性が高い
・自然素材で環境に優しい
・カラーバリエーションが多い
【珪藻土のデメリット】
・粉が落ちやすい
・シミになりやすい
珪藻土は小さな穴がたくさんある「多孔質素材」であるため、調湿性や断熱性などに優れています。耐火性も高く、火災の際にも火が燃え広がりにくいといった点がメリットです。
表面がざらざらしており、独特の風合いが特徴的ですが、強くこすると粉が落ちてしまいます。手垢などの少しの汚れなら消しゴムで落とせますが、コーヒーなどをこぼすとシミになりやすい点には注意が必要です。
顔料によってさまざまな色を出せるので、部屋の雰囲気にあわせて色を選択できるのもポイントです。
プラスター
プラスターとは、鉱物質の粉末を水と混ぜたものです。石膏を主な成分とした「石膏プラスター」や炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムを主成分とした「ドロマイトプラスター」があります。
【プラスターのメリット】
・純白で美しい仕上がり
・亀裂が生じにくい
【プラスターのデメリット】
・防水性は劣る
プラスター壁は純白の輝きから「西洋漆喰」とも呼ばれています。防水性は劣るため水回りへの使用は控えたほうがよいでしょう。
乾燥による収縮が少ないため亀裂が生じにくく、漆喰よりも安価な点がメリットです。
土壁
土壁は土を材料とした塗壁で、主に数寄屋建築や茶室で使用されます。
【土壁のメリット】
・調湿性や消臭性、耐火性が高い
・自然素材でアレルギーの心配が少ない
【土壁のデメリット】
・施工費用がかかる
・水拭きができない
土壁は調湿性があるため、湿気を吸収し乾燥時には水分を放出する効果があります。また、土でできているため、化学物質に対するアレルギー(シックハウス症候群)の心配も少なく、小さなお子さんがいる家庭にも使用できる塗壁です。
住宅のイメージにあわせて、仕上げ方や豊富なカラーバリエーションを選べる一方、費用と時間がかかります。また、汚れても水拭きができない点にも注意が必要です。
まとめ
壁は部屋の大部分を占めるため、イメージや目的、予算にあわせた素材選びが大切です。
手入れが簡単で予算を抑えたい場合はビニールクロスを、自然素材で調湿性や耐火性のある珪藻土など、それぞれの特徴を知っておきましょう。
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